セラミックの違いご存知ですか?
どこの医院のセラミックも同じではありません
専門的な内容まで踏み込んで書いてみましたので、ご興味があればぜひご一読いただければ幸いです。
「オールセラミックス」や「ジルコニア」など名称が同じであるため、色々な歯科医院のホームページでの金額を比較できるようになりました。
それ自体は患者様の選択肢が増えることでとても良いことなのですが、残念ながら同じ名称でも実際の出来栄えは、その歯科医院によって大きく変わります。
私たち歯科医院が言うところに宣伝臭く感じさせてしまい、恐縮しますが、ここはしっかりと注意しておいたほうが良い点です。
・家電製品などの既成品 → どこのお店で買ってもほぼ同じ。金額比較は容易。
・飲食店やオーダーメイド製品 → 「ラーメン」や「カバン・スーツ」など同じ名称のものを扱っていても、お店によって全く味や出来栄えが違う。歯科治療もこちらに入ります。
なにがセラミックの出来栄えを分けるのか?
セラミック治療の前段階
インレータイプ(詰め物)かクラウンタイプ(被せ物)かの問題
虫歯の深さが神経に達するかどうかの微妙なラインの場合、歯科医師によって大きく判断が変わります。神経を抜いてしまう歯医者ならクラウン(被せ物)、神経を残す歯医者ならインレー(詰め物)となるはずです。
患者さんからすると、神経を残したほうがいいに決まっていますね?!
それでも神経を抜いてしまう歯科医師がいるのはなぜかと言うと、神経を取るほうが簡単ですし、神経を残すといって結局ダメになったり激しい痛みが出た時に苦情を言われるのも嫌だからです。
「神経が残せるかもしれないけれども、後々の対応を考えると神経を取ったほうがお互いに楽だろう」との判断が多いと思います。
豊中本町歯科クリニックとしては、他のページにも書きましたが、「最後まで歯を諦めない」方針です。当然、残せる神経は可能なかぎり残します。
どうしても残せない場合はハッキリと伝えますし、残してもやっぱり駄目だったこともありますが、それでも残す方針には変わりありません。
セラミックを入れる前の形成精度の問題
詰め物や被せ物を入れる前には、虫歯(感染箇所)を削って、その後「形成」と言われる詰め物・被せ物を入れるために形を整える準備が必要になります。
詰め物・被せ物が外れたり欠けたりしないように、適切に歯の形を整えてあげないといけない訳ですが、歯科医師のテクニックによってその精度が大きく異なります。
印象(型取り)の精度の問題
歯の型取りをして、その情報を歯科技工士に伝えて、詰め物や被せ物が出来上がります。そのため精密な歯の型取りは、非常に重要になります。
豊中本町歯科クリニックでは、「歯肉圧排」といって歯と歯ぐきの境目に専用の糸を入れて型取りをします。そうすることで、歯と歯ぐきの間にわずかな隙間を作り、境目の型取りを正確に行うためです。非常に手間のかかる作業ですが、ピッタリとフィットした被せものを作ることで、むし歯にもなりにくく長持ちする被せ物ができます。
(境目が歯肉の上にくる場合や詰め物の場合など、歯肉圧排しない場合もあります)
技工物の精度の問題
技工物(詰め物・被せ物)は、歯科技工士が製作します。最近では、海外への発注なども含め、とても多くの歯科技工所があり、そのうちどこの歯科技工所に発注するかは歯科医院によって異なります。
豊中本町歯科クリニックでは、法人として10年以上もの付き合いがある歯科技工所に発注しています。毎日のように「安くセラミックを作ります」と言った営業のFAXが届きますが、他の技工所に浮気をしたことはありません。
その理由は、良い仕事をしてくれるからに他なりません。いつも注文どおりの(又はそれ以上の)出来栄えの歯科技工物を作ってくれる歯科技工所で感謝しています。
出来上がったセラミックを装着する段階
歯と詰め物・被せ物との接着の問題
接着がうまく行かないと、外れたりすき間が生じて二次カリエスの原因となります。
接着を完璧にするためには、歯とセラミックを介在させるレジンセメントやボンドの選択と、それらの扱う熟練度が求められます。また、少しでも出血や汚れなどがあると、それだけで接着の精度が落ちますし、削った面が感染を起こしていると当然予後が悪くなります。
装着後の調整の問題
セラミックを口腔内に入れて接着させた後に、噛み合わせなどの調整が必要なケースがあります。
しかし、調整すればするほどセラミックを削る訳ですから、セラミックの厚みがなくなります。つまりその分、強度が下がります。今までのすべての工程で雑に形成したり印象をしてきたとすると、当然最後の調整も時間がかかるものと思われます。
豊中本町歯科クリニックでは、ほとんど調整することはなくパチッと装着できます。もちろん調整することもありますが、できる限り少なく調整できるように日々心がけています。
さいごに
以上のように、同じ「セラミック」や「ジルコニア」「メタルボンド」と呼んでいても、歯科医師によってここまでこだわるポイントが沢山あることは、イメージできますでしょうか?
結局のところ、金額の高い安いだけでは判断はできず、その歯科医院の姿勢が一本のセラミックにも現れてしまうのです。